3月16日(土)の自分自身のオルガンソロ公演が終わり、今年度からスタートしたチャペルコンサートシリーズの、2018年度のプログラムがすべて終了しました。
3月は特に卒業式や終業式が続き、年度末の様々な校務に追われる時期であるので、そのタイミングでソロ公演を企画したことに少し後悔を感じなくもありませんでした。
土曜の公演については、結果的に凝ったプログラミングになってしまい、聴きに来られたお客さんにとってはどのように受けとめられたのか、と気になるものはあります。
だけどメシアンとズステックの作品が上演できたことに、とっても大きな喜びも感じています。(出来はともかく)特にズステックの「時間」(写真は本作品のクラスターが出てくる部分の楽譜)は、個人的に初めてまともに挑戦した現代作品であったので、多少なりとも形にできて本当に嬉しいです。
(メシアンは以前から演奏してますが、メシアンを「現代作品」だとはもはや言えないのです)
しかも、この曲に対するみなさんの反応が概ね、とっても良かったのです!
全プログラムの中でこの曲を最も気に入ってもらったケースも少なくない。
むしろメシアンの方が「難しい・・・」と感じられる傾向にあったかも、でした。
私自身、準備段階でメシアンとズステックの演奏にさしかかると急に細胞が騒ぎ出すのを何度も感じて、
やはりこの挑戦をして良かったと思っています。
技術的に、そしてコンサートという場でのパフォーマンス、という点では今回も課題はたくさん残ったのですけど・・・。
シリーズを始めてから、各公演を「レクチャー」式に解説を含めて展開することを意識しています。
レクチャーを他の出演者にして頂ける場合は、喜んでお願いしています。
その理由は、オルガン音楽がそもそもまだ日本ではマイナーであることもありますが、
もう一つ、「知る」ということで音楽が面白くなるという現象を授業で体感しているからでもあります。
高校の音楽の授業でここ数年、熱いレクチャーを交えて「クラシックなんて普段全く聴きません」という層が大部分なクラスで近現代作品を紹介すると、年度終わりにはかなり熱い反応が返ってくるというのを経験し、
現代作品に関する拒否感、距離感というものは、往々にして「知らないこと」から来ているような気がしています。
高校生には、例えば19世紀末から20世紀初頭にかけての「前衛」芸術のおこりの話や、
ジョン・ケージの芸術観などは結構人気だったりします。
むしろ音楽に長年触れている人、クラシックを愛好されている層の方が現代作品への拒否感は強く、
そうした音楽作品に対する反応によって自らを「再発見」することの面白さが伝われば、
なんて思って授業をしています。
公演における「レクチャー」も同様で、できれば一つの公演で何かしらの音楽への切り口が見えるものに
なれば、と思っています。
今回は、「殆ど知らない曲だったけど飽きなかった」「お話をもっと聞きたかった」という有り難い
反応も少なからず頂き、随分と励まされたのでした。
学校から発信する入場無料のコンサートだからこそ、ここでしかできないチャレンジをすべき、
ここが文化発信の場になって欲しい、と強く思う一方、
より多くの人にシリーズに足を運んでもらい、音楽に興味を持ってもらうにはどうしたらいいのか、
ということにまだまだ悩む日々です。
引き続き、多くの方にご支援頂けますように!