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quo vadis

岩倉のオルガン設置に最前線で携わっていた身として、オルガンという楽器の発展にとても興味があり、少し研究めいた事をしていたりもする。
ドイツの ショット(Schott)社が年に4回出している雑誌「organ」の最新号には、スウェーデンのイェーテボリにあるコンサートホールで昨年10月お披露目されたリーガー社の新しいオルガンについて詳細を記した記事と、現代のレパートリーに適したオルガンがコンサートホールにはなかなか設置されていないことをシビアに指摘しつつ、これからのオルガン建造の課題について書かれた記事が並んでいる。
非常に興味深くて、思わずこの雑誌の定期購読を申し込んでしまった。
2つの記事の執筆者はどちらも知った名前で、前者はケルン留学中の当時の音大の学長(オルガニスト)で、後者はケルンでお世話になり、未だ繋がりのある作曲家/オルガニストである。
対立とも言える2つの記事が並べてあるのはとてもエキサイティングで、実際にSNS上で両者がオフィシャルに意見を戦わせていた。
こういうところが、さすがドイツだと思う。
記事内容の詳細については、また機会があればゆっくり紹介したいと思うが、2つめの記事のタイトルがOrgel quo vadis?とあったのでそのことについて。
Orgelとはドイツ語でオルガンのことなので、quo vadisとは何かということ。
私は聖書にもラテン語にもあまり明るくなくて、(どちらも触れる機会が多いくせに)実は最初意味がわからなかった。
ヨハネによる福音書に登場するペトロがイエスに問いかける言葉、「(主よ)、どこに行かれるのですか?」というのが引用元のようです。
ペトロはイエスの答えを聞き、キリスト教徒への迫害が広がるローマに引き返して殉教する。
(教会的にはペトロはとても重要な人で、ヨーロッパの主要な教会の多くにペトロに由来する名前が付けられている。)
この記事タイトルに、聖書的な意味がどこまで込められているのか考えるのは今日はもうやめようと思うけど(寝たいので)、記事そのものも記事タイトルもインパクトが大きくて、なんだかため息がでるのです。