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録音するということ

コロナ以来、仕事で録音や録画する機会が急増した。
例えば今までチャペルに集まってやっていた学校の礼拝も、事前に録音録画、編集して配信で実施している。実際配信動画を作っている立場としては、各パーツを録画してつぎはぎでコンテンツを集めていく感覚なので、大きい声では言えないが礼拝とは言い難い気持ちになる。
録音する機会が増えると、録音するという操作がやっかいであると大変だ。なるべく手軽にそこそこ良い音質で…というのを求めた結果、落ち着いているのはZOOMマイクとiPadとアプリを使った録音である。
もちろんiPhoneでもできるけど、後の編集作業は画面が大きい方がやり易いので、初めからiPadで録ってしまう。別の端末で同時に動画も撮って、後で音と合体させる。
慣れてくると割とサクサクできるけど、もちろんその場で演奏するより10倍くらいの時間と労力がかかる。(気がする)

ただ、これをやっていて気付いたのが、自分の演奏が、演奏中に聴いて自分で感じているものと録音をして後で聴く感じとに大きなギャップがあるということである。
多くの場合、録音を聴いてみると、弾いて感じていたよりとてもせっかちに聴こえる。だから録音をチェックしてから演奏を大きく変えていくことが増えた。

数年前までは、これほどの大きな隔たりを感じなかったように思う。加齢による聴覚の変化(そんなものがあるのかわからないけど)なのか、利便性を求めるデジタル社会の弊害なのかわからないが、自分の耳に対する大きな不信が生まれたことは間違いない。
自分の耳が信じられないというのは、音楽家にとっては情けない話であるけれど、自分の足りていないところを認めるのは成長の第一歩だと言い聞かせているこの頃。